丈夫で耐久性もあり、使えば使うほど独特の風味が増してくる革製品。レザーバックだけではなくお財布やキーケースなど革を使ったオシャレな製品は、憧れがある一方で「お手入れが大変そう」というイメージもあるのではないでしょうか。
革製品のお手入れには難しいスキルは一切不要です。むしろ意識したいのは正しいお手入れのタイミング。
今回は、正しいお手入れのタイミングとケアの方法をご紹介します。
革は天然素材なので、自分の取り扱い方がそのまま製品に現れるもの。大切にすればするほど、色やツヤといった経年変化が美しく出てくるのが革製品の魅力なので、ぜひお手持ちの革製品のお手入れの参考にしてみてくだいさいね。
革製品はなぜお手入れが必要なのか?革製品が苦手なモノとは
そもそもなぜ革製品はお手入れが重要と言われるのでしょうか。革製品には苦手なものが3つあります。その苦手なものを上手に取り除いてあげないと、革製品はあっという間に傷んでしまうのためお手入れが必要になるのです。
「乾燥」は革製品の大敵
革製品は動物の皮膚に由来する天然の素材であり、人間のお肌と同様乾燥やキズに弱いものです。「加湿」と「保湿」をしないと、どんどん水分が失われていくのも人間のお肌と同じ。
潤いや油分が失われ乾燥していくと、ひび割れを引き起こします。また表面についた小さなキズもそのままにしておくとどんどん目立ってくるので放置は禁物。
革製品に発生したひび割れやキズは一度ついたら簡単には元に戻りません。日々の乾燥対策と、ついてしまったキズの早期対処が大切なのです。
汚れが原因で、カビが発生しやすい
布製品のように手軽に洗うことができない革製品は、見えない汚れが蓄積されやすいものです。
例えば革バックであれば、持ち手に当たる部分には手垢や皮脂といった汚れが付着するでしょう。そのまま湿気がある場所に置いておくと、カビが汚れをエサとして革製品に繁殖してしまうのです。
水シミの原因になる水分は革製品には厳禁
最近では初めから防水加工されている革製品も多いですが、基本的に革製品に濡らすことは厳禁。濡れた部分が水シミと言われるシミになり、目立ってしまいます。
ただの水なのに、どうしてシミができるのでしょうか。水分が革の内部に染み込むと、濡れた部分と乾いている部分の水分量が異なってきます。しかも水分蒸発時に油分も一緒に失われてしまうため、その部分だけ色が変わり硬化してしまうのです。
革製品のお手入れをすべき、3つのタイミング
革製品が苦手もの、それは「乾燥」「汚れ」「水分」の3つです。この3つの劣化原因から革製品を守るためには、それぞれお手入れをすべき適切なタイミングがあります。
革製品のお手入れは、リカバリー(回復)と同時に、継続的にプロテクション(予防)も大切になりますので、日々の生活の中で意識してみてくださいね。
お手入れタイミング1:毎日の使用後
日々のお手入れでケアしたいのが「汚れ」。革製品の表面には目に見えない埃や塵だけではなく、手垢や皮脂も付着しています。それを放置しておくとカビの原因にもなるので、常日頃から表面を清潔に保つことで美しさが長持ちするでしょう。
汚れの落とし方は、馬毛ブラシなどで軽く表面をブラッシングするだけ。帰宅時に玄関でのブラッシングを習慣にすると、革製品の持ちがかなり違ってきます。
お手入れタイミング2:雨の日の外出、30分前
「水分」の染み込みを予防するためのに大切なのが、防水ケアです。防水スプレーは革の呼吸を妨げるため倦厭する方もいるようですが、少なくとも雨の日に革製品を持ってお出かけする際には防水スプレーをかけておいた方が安心です。
防水スプレーの使い方は汚れを落とした革製品に吹きかけるだけと簡単ですが、しっかり乾かしてからではないと効果を十分に発揮しないので、お出かけの少なくとも30分前には防水ケアを完了しておきましょう。
お手入れタイミング3:最低でもシーズンに1回はしたい、スペシャルケア
革製品の大敵「乾燥」を防ぐには、オイルやクリームを使ったスペシャルケアがオススメ。乾燥によるひび割れだけではなく、油膜を作ることで汚れにくい状態を保つことができます。財布やキーケースなど普段から手で触れる機会が多い小物は1シーズンに1回程度、本体に触れる機会が少ない革バッグなどは1〜2ヶ月に1回が理想の頻度です。
スペシャルケアは「汚れ落とし」や「防水」よりも手順が多いので、詳しくご紹介していきます。
コツを押さえれば簡単!スペシャルケアの方法
スペシャルケアと言っても、難しいスキルは一切不要。道具も高価なものをそろえる必要はありません。何度かやっているうちに、少しずつ変化していく革製品のお手入れが楽しくなってくるでしょう。
お手入れに必要な道具
お手入れに必要な道具は4つ。
・革製品専用のブラシ
・革のメンテナンスオイルまたはクリーム
・柔らかい布(オイル・クリーム用)
・乾拭き用の布
どれも100円ショップでそろえることができますが、選ぶ際に覚えておくと便利なポイントをご紹介します。
ブラシは毛の素材によって3種類
革製品専用ブラシは、使用されている毛の種類によって適した用途が変わってくるので違いを覚えておきましょう。
まず「馬毛」は密度が濃く毛足が長いので、土や埃を落とすのに向いています。硬くコシが強いのでクリームを革製品に馴染ませる作業に適しているのが「豚毛」。仕上げのブラッシングには毛が柔らかい「ヤギの毛」が使われることが多いですが、こちらは少し高価になるので、馬毛ブラシで代用してもよいでしょう。
布はできるだけ天然素材を
布は革を傷つけないよう柔らかいものを選びます。パイル生地は柔らかいので使われがちですが、ファスナーなどに引っかかる可能性があるため避けた方がよいです。綿などの天然素材がオススメです。
お手入れの手順
お手入れの手順は、人間のスキンケアと考え方は同じ。汚れを落としてから、しっかり保湿し馴染ませていきます。
Step1:バッグや財布の場合、中身を全て取り出します。
Step2:ブラシを使って優しくなでるようにブラッシングし、埃をおとします。この時、汚れが溜まりやすい縫い目の部分は念入りに行いましょう。
Step3:オイル・クリーム用の布に、オイル・クリームをとります。使う量は、財布のような小物は米粒くらい、バッグの場合は一円玉くらいを目安にサイズと状況を見ながら少しずつ調整しますしょう。つけすぎはシミの原因になるので注意が必要です。
Step4:オイル・クリームを、手早く全体に馴染ませます。円を描くように、薄く手早く全体に馴染ませることがポイントです。
Step5:日の当たらない場所で、1時間ほど乾かします。
Step6:きれいな布で全体を優しく乾拭きしたら完了です。
オイルとクリーム、お手入れにはどっちがいいの?
お手入れにはオイルを使う人と、クリームを好む人がいます。
オイルは液状なので、革への浸透性が高く革内部までしっかり保湿できることがメリットですが、塗り込む量の調整が難しく油分過多になるとカビの原因になるというデメリットも。
クリームは少しずつ塗布できるため扱い易く初心者向きです。染み込むのに時間がかかるのでじっくり馴染ませる必要があります。
ワセリンやニベア、ハンドクリームはケアに使えるか
インターネットやSNSでは、革専用のメンテナンスクリームの代わりにお肌の保湿に使用するワセリンやニベア、ハンドクリームを使うケースが紹介されていますね。
これらの肌保湿用のクリームと革製品専用のクリームではそこまで大きな価格差はありませんが、あえて肌保湿用クリームを使用する方は「家にあるもので手軽に済ませたい」「子供が触るものなので肌にも優しいクリームを使いたい」という方が多いようです。
ワセリンやニベア、ハンドクリームは本当に革製品に使えるのでしょうか。
革製品専用クリームでも、革製品によっては合う、合わないがあるため、必ず使用する前に目立たないところで試すように注意書きがあります。まして革専用製品ではない肌保湿用クリームの使用は完全に自己責任。どうしてもという理由がない限りは、デリケートな革製品への使用は避けた方が安心でしょう。
持ち主次第で、革製品は年を追うごとに美しくなる
お手入れをすればするほど独特の味わいがでて、愛着も湧いてくる革製品。正しくケアをすれば長期間にわたって使用することができる優れた製品です。美しく年齢を重ねている革製品からは、丁寧にメンテナンスをし続けている持ち主の優しさまで伝わってきますね。
一緒に月日を重ねていける革製品だからこそ、今回ご紹介した3つのタイミングを意識してお手入れを欠かさないようにしましょう。
日々のちょっとしたお手入れを習慣化し、時間のできた時にはスペシャルケアでしっかり潤いを与えてあげれば、革製品はもっと美しく変化していきますよ。