ビジネスの定番の服装であるスーツ。ビジネススーツをはじめ、面接で使うリクルートスーツや、冠婚葬祭で使うフォーマルスーツ・ブラックスーツ等様々な種類があります。

そんなスーツですが、ボタンについてのマナーがあることをご存知ですか?

「ただがボタンでしょう?」と思われるかもしれませんが、ボタンの開け閉め1つとっても、マナーが存在するのです。

またスーツはビジネスシーンだけでなく冠婚葬祭にも着用するもの。マナーを知らないと、いざという時に恥をかいてしまうかもしれません。

そこで今回はスーツのボタンマナーについて解説。スーツを着こなすための「アンボタンマナー」や、状況別にどのように着用するのが正解なのかをご紹介します。この記事を読んで、スーツのボタンに関するマナーをしっかり覚えておきましょう!


スーツの「アンボタンマナー」について

スーツ着用時に立った時や座った時にボタンを留めるのか、外すのかを定めた暗黙のルールを「アンボタンマナー」といいます。

ただがボタン1つで…と思われる方もいるかもしれません。ですがこういったマナーを気にする人がいるのも事実です。

ビジネスの場でいきなり注意されることはないかもしれませんが、しかし「あの人スーツのマナー知らないんだ…」と、自分の知らない場所で印象が悪くなっている可能性があります。こういうことにならないよう、マナーを知っておくことをおすすめします。

一番下のボタンは留めない

立っているときは、2つ、3つボタンを問わず、一番下のボタンは留めないのが正式なルールです。

一番下のボタンを留めない理由は、スーツの美しさが損なわれるから。

一番下のボタンは「飾りボタン」と言われていて、留めるためのボタンではありません。また留めるために作られていないため、留めると裾が寄ってしまいます。

結果美しいラインが歪んでしまい、かっこ悪くなるということです。

ベストでも同様

これらのマナーはスーツジャケットのみならず、ベストでも同様です。一番下は飾りボタンなので留めないように気をつけましょう。

座ったときはボタンを外す

立ったときとは違い、座った時はボタンを全て外すのがマナーです。シワが寄るので見栄えも悪くなり、また着用者側も窮屈ですよね。

座った時、立ち上がるときにスマートにボタンの着脱を行えると、かっこよく見えますよ!

なんで留めないのに付いてるの?

留めないならなんでボタンを付けてるんだと感じる方もいらっしゃるかと思います。

時代は遡り、中世ヨーロッパでは、ボタンは装飾品として大きな役割を担っていました。利便性ではなく、デザイン性・見栄えのための飾りだったというわけです。

一番下のボタンが留めるものでないのは、この時代から受け継がれてきています。元々留めないものとして設計されており、そのため留めると形が崩れる原因になります。

スーツを綺麗に魅せるのがマナー!

立った時は一番下以外を留め、座った時はボタンを外すというのが、アンボタンマナーです。これらのルールを守ることで、相手にスーツを美しく魅せることができます。

人の第一印象は3~5秒で決まると言われています。スーツをビシッと決めて洗練された、清潔感のある見た目にすることで、相手にもきっといい印象を与えられるでしょう。

また、ルールに関係なく、全てのボタンを留めたまま座ったりしていると、スーツが傷んでしまいます。見栄えだけでなく、スーツをより長く持たせることにも役立ちますので、アンボタンマナーを意識してみてはいかがでしょうか。

状況別のボタンマナーについて

ここまでで紹介したのは、ビジネスシーンの一般的なマナーです。しかしこれはあくまでも基本的なルールであり、TPOに合わせて変える必要があります。

面接時

就活の時はリクルートスーツを身に着けます。リクルートスーツにおけるマナーは、基本的なアンボタンマナーと同じです。

一点注意したいのは、「面接官が知らないかもしれない」ということ。アンボタンマナーについて知っていたら、座った時に全てのボタンを外しても違和感はないでしょう。マナーを守っているだけの人です。

ですがこれらのマナーを知らなかったらどうでしょう。座っていきなりスーツのボタンを外しはじめたら、生意気なヤツだなあと感じてしまうかもしれません。採用面接において、生意気な人間と思われたくないですよね。どれだけ出身大学が優秀でも、いろいろなことに打ち込んでいても生意気な人間と働きたいと思う人はいないでしょう。

また、初対面でスーツマナーを知っているかを把握するのは難しいです。そのため面接時は、マナーを一旦忘れてボタンを閉めたままにしておくといいでしょう。

女性の場合

レディーススーツの場合、メンズのものより丈が短いことが多いです。そのため一番下のボタンを開けていると、お腹が出てしまいます。

そのためレディーススーツの場合は、ボタンを全て留めましょう。留めても美しいデザインが維持できる作りになっているスーツもあります。

ただし丈の長いスーツの場合は、一番下のボタンを留めないこともあります。一度鏡の前に立ち、スーツのラインが崩れないかどうか確認しておくと安心です。

礼服(冠婚葬祭)

正礼装(モーニング/燕尾服)

男性のフォーマルスタイルの中で最も格式が高い正装で、昼(18時以前)までに着用する正礼装がモーニング、夜(18時以降)に着る服を燕尾服という名前です。結婚式の新郎や新郎新婦の父親、式典の主催者などが着用します。

モーニングコート(ジャケット)に1つボタンが付いています。弔事(お葬式など)では普通に留めますが、慶事(結婚式など)ではボタンを突き合わせる「拝み合わせ」で留めます。

格式が高いだけあって、着る人の品格が問われるスーツです。着こなしに関するマナーは事前に勉強しておきましょう。

準礼装

準礼装は、結婚式の場合はタキシードやディレクタースーツを指します。結婚式のスピーチを行う人や主賓が着用することが多いです。

こちらもモーニングコートと同様にボタンが1つついています。マナーとしては必ず留めておきましょう。

略礼装

礼服の中でも最も格式の低いものとなります。ダークスーツやブラックスーツが該当します。略礼装のボタンマナーは、ビジネススーツと同様で一番下以外は留めておきます。2つボタンなら一番上のボタンを、3つボタンなら上2つのボタンを留めましょう。

また、ボタンが2列になっているダブルスーツの場合は、ルールが少し異なります。ボタンが縦一列に配置されている場合は、全てのボタンを留めてください。ボタンがV字に配置されている場合は左上のボタンを外しておきます。

なお、礼服の上着は脱がないというマナーがあるので、ボタンと一緒に覚えておいてください。

正しいマナーを覚えてスーツを着こなそう!

今回は、スーツのボタンマナーについて解説しました。

ビジネスだけでなく、面接時や冠婚葬祭にも使うスーツ。マナーを覚えてしっかりと着こなしていると、かっこよく見えるものです。

また冠婚葬祭では、親族以外にも親戚や多数の参加者がいます。反対にマナーを守れていないと、恥をかいてしまうかもしれません。

ボタン1つとっても、マナーは非常に重要です。しっかりと覚えて、気持ちよくスーツを着こなしてくださいね!