シルクスクリーン印刷の自作方法は?おすすめの道具&デザイン制作ソフトも紹介!

オリジナルグッズやTシャツを、自分の手で気軽に作れる「シルクスクリーン印刷」。施設ユニフォームや学祭・部活動Tシャツづくりはもちろん、趣味のハンドメイドやプレゼントにもぴったりな自作方法です。

とはいえ、いざ始めようと思うと「何を揃えればいいの?」「版の作り方が難しそう…」など不安を感じてしまいますよね。

そこで今回は、シルクスクリーン印刷の基本と魅力を解説しながら、デザイン制作から始めるシルクスクリーン印刷手順の内容、材料を工夫して低予算で制作する方法をご紹介します。世界にひとつだけのデザインを形にできるシルクスクリーンプリントで、ワクワクするものづくりの時間を楽しみましょう!

 

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シルクスクリーン印刷とは

シルクスクリーン印刷の様子

シルクスクリーン印刷とは、版画技法の一種であり、インクをメッシュ状のスクリーンを通して紙や布などに転写する印刷方法です。シルクスクリーン印刷の最大の魅力は、インクの発色や仕上がりの美しさにあるので、ハンドメイド作品やオリジナルグッズ制作に取り入れると、より本格的な仕上がりを楽しめます。

こちらは、シルクスクリーン印刷ができる主な素材のリストと注意点です。 素材によってインクの選び方や印刷のコツが異なるので、素材選びの参考にしましょう。

素材

特徴&用途

注意点

布(綿・ポリエステル・麻など)

・染み込み、発色が良い

・Tシャツ、トートバック、エプロンなど

布の種類によってインクの吸水性が違うので試し刷りがおすすめ

ポリエステル素材には布用インクでも定着しにくく、熱処理は必須

紙(クラフト紙・アート紙など)

・紙質によってインクののり方が変わる

・ポスター、カード、パッケージなど

にじみやすい紙にはインクを少なめ

・コーティングされた紙は油性インク向き(水性はインクがはじかれる

木材(合板・無垢材・MDFなど)

ナチュラルで温かみのある仕上がり

・看板、テーブル、インテリア雑貨など

印刷前にやすりがけをしておく(木目に凹凸があるとインクが均等にのりにくい)

・乾燥に時間がかかる

プラスチック(アクリル・PP・PETなど)

・鮮やかで高級感のある仕上がり

・スマホケース、アクリルキーホルダー、ボトルなど

油性インクまたは専用インクが必須(ツルツルした表面は水性インクでは定着にくい)

・印刷面をアルコールなどで脱脂してから刷る

ガラス(瓶・グラス・窓など)

・輝きと高級感のあるプリントに

・グラス、瓶ラベル、ウィンドウディスプレイなど

・ガラス用インクを使用

印刷後に焼き付け処理が必要な場合も

・印刷面の脱脂、清掃をしっかりする

レザー・合皮(本革・PUレザーなど)

・上質な仕上がり

・財布、小物、バッグなど

表面加工されたレザーにはインクがはじかれる場合も

・インク割れしないように、布用インクやレザー対応のものを選ぶ

使用前に軽く熱を加えておくと定着しやすい

・印刷後の乾燥はしっかりと

こちらの動画等は、様々な素材にシルクスクリーン印刷をされているシーンがあるので、イメージの参考にいかがでしょうか。

参考:#hailprints(素材:Tシャツ)

参考:#hankobon(Instagram)(素材:マグカップ)

さらに、他素材へのプリント方法については、次の記事で詳しく解説しています。

オリジナルプリントでマイボトルが作れる!プレゼントにも大活躍

シルクスクリーン印刷で自作するメリット

デザインを手書きしている人の手の写真

シルクスクリーン印刷で自作するメリットは、以下のような点が挙げられます。

  • コストを抑えれる
  • デザインを自由&何度でも印刷できる
  • 手作業ならではの温かみがでる
  • 創作活動やハンドメイド販売にGOOD

 

手書きやスタンプでは難しい、細やかな線や色の均一さも、版を使ったシルクスクリーン印刷ならしっかり再現できます。

また、布や紙、木材、プラスチックなど、多くの素材に対応できる自由度の高さも魅力です。

同じデザインを何度もプリントできるシルクスクリーン印刷は、シリーズ展開や数量のあるグッズづくりにもぴったりなので、ハンドメイド制作に興味のある方はこちらの記事もご覧ください。

オリジナルTシャツを作りたいクリエイター必見!メリット・販売方法・デザインのコツ・注意点とは?

こちらの動画等は、ハンドメイド作品の楽しさが伝わってくるので参考にしてみてくださいね。

参考:シルクスクリーン ワークショップ動画

シルクスクリーン印刷で自作するデメリット

頭を抱える人困った様子

シルクスクリーン印刷で自作する場合、いくつかのデメリットもあります。特に初心者の場合、慣れるまでに時間がかかることが予想されるので、始める前に以下をご確認ください。

  • 初期準備に手間と時間がかかる
  • ある程度の初期費用がかかる(約7,300円〜9,000円)
  • 失敗しやすく、試行錯誤が必要
  • 環境や湿度などにより乾燥・定着に時間がかかるので作業時間は長め(半日〜2日)
  • 後片付けが大変

 

シルクスクリーン印刷は、工程も多く環境に作用される場合も多いので一発成功は難しいものの、コツを掴めば楽しく創作できるでしょう。

シルクスクリーン印刷を自作するのに必要な道具

シルクスクリーン印刷で自作する際に必要な道具をまとめました。100均にあるものと100均にないものを分類し、低予算で初心者でも簡単にシルクスクリーン印刷ができる道具と機材をピックアップしたので確認しましょう。

シルクスクリーン印刷に必要な道具一覧表

インクの写真

シルクスクリーン印刷を始めるためのおすすめ道具一覧表では、初心者の方が無理なく始められるように、手に入りやすい道具・価格帯・参考の補足などをご紹介します。

道具名

100均の有無

補足

商品サイト

木枠

ある

デザインを転写して印刷するための製版を作る素材

(コルクボードで代用可能)

コルクボード 片面、約30×30cm(DAISO)

タッカー

ある

ホッチキスでもOK

タッカー(DAISO)

スキージ(インクを刷るヘラ)

ある

インクを版に押し出すためのヘラ

(キッチン用品でも代用可能)

スケッパー(DAISO)

マスキングテープ

ある

固定や養生に使用

マスキングテープ(DAISO)

OHPシート(透明フィルム)

なし

(約1,600円〜3,000円)

デザインを転写する際の原稿用

プラス インクジェット用OHPフィルムA4 10枚 IT-120PF 45-035(Amazon) 

ピカポカ OHPフィルム A3 透明 スーパークリア 20枚 染料顔料対応 インクジェット用OHPシート 手書きも可能 (P00A4ES100OS)

スクリーン

なし

(約1,900円〜2,500円)

版にデザインを定着させる材料で紫外線で塗料が固まる(反応する)メッシュ素材

ホリゾン TシャツくんJr スモールスクリーン #120 5枚組

シルクスクリーン用インク

なし

(約700円〜)

生地などに印刷するインク

Tシャツくん インク(HANDO)

SURIMACCA インク

UVライト

なし

(約1,700円〜)

紫外線を使いデザインを原版に定着させる

ブラックライト - 紫外線ライト UVライト 25W プラグ付き 超薄型 395~405nm(Amazon)

ダンボール箱

廃材利用で0円

購入したUVライトを組み合わせるので大きさの合うもの

自宅にある中型程度のものでOK

はさみ or カッター

ある

ダンボール箱のリメイクに使用

自宅にあるものでOK

スプーン

ある

インクを混ぜる、インクをすくってのせる用

自宅にあるものでOK

素材(Tシャツ)

なし

(約700円〜)

Tシャツなら綿100%の素材がおすすめ

United Athle 5.6オンス ハイクオリティーTシャツ(タカハマライフアート)

もっと費用を抑えたい方は、OHPシートにデザインを印刷する代わりに、デザインを切り抜いてメッシュシートに貼り付ける方法でもシルクスクリーン製版を作れます。こちらの注意点は、後ほど解説します。

Tシャツ素材の参考に、次の記事も合わせてチェックしてみてくださいね。

プロが厳選!絶対におすすめしたい無地Tシャツ10選

また、簡単に自作でシルクスクリーン印刷ができるキットもメーカーから市販されていますので参考にしてみてください。

  • Tシャツくんフルキット 価格24,200〜74,580円(2025年4月現在)
  • スリマッカセット 価格6,490円(2025年4月現在)

参照:Tシャツくん商品一覧(HANDO)、参照:SURIMACCAセット

シルクスクリーン印刷を自作する手順5ステップ

シルクスクリーン印刷の自作制作を始めます。ここでは、シルクスクリーン印刷の製版を制作する手順を5段階に分けて詳しく解説します。工程も楽しみながら進めていきましょう!

Tシャツ素材などに印刷する自作デザインを用意する

パソコンでデザインを作成する様子

まず、デザインを作成&準備する方法を3つ挙げます。

  1. パソコンでデザインを作る
  2. 手書きデザインをパソコンに取り込む
  3. スマホアプリでデザインを作る

 

デザインを制作する方法をひとつずつ詳しく解説しましょう。

デザインソフトを使用しパソコンでデザインを作る方法

パソコンでオリジナルデザインを制作する場合、デザイン制作ソフトを使用するとテンプレートが豊富なものが多く、簡単に作りやすいでしょう。初心者でも扱いやすいソフトを4つ紹介します。

デザインソフト名

特徴

料金

Canva(キャンバ)

多彩なテンプレート、初心者におすすめ

無料の範囲で使用可

GIMP(ギンプ)

画像編集・写真加工

無料の範囲で使用可

Inkscape(インクスケープ)

ロゴ作成・画像編集

無料の範囲で使用可

Krita(クリータ)

画像加工・グラフィックデザイン

無料の範囲で使用可

自分の作りたいデザインのイメージに合ったソフトを選ぶと良いでしょう。無料でも使える機能が多く、簡単なデザイン制作にはおすすめです。

手書きでデザインを作成する方法

お子さんのお絵かき作品などをデザインにしたい場合は、紙などに描いたデザインをパソコンに取り込んでデジタル化し書き出す方法があります。

  1. 紙に書いたデザインをスマホで撮影
  2. 撮影したフォトデータをパソコンに送信
  3. パソコンからプリンターへデータを送り印刷

 

スマホの画像編集機能を使えば、デザインのみを切り取ることが可能です。また、パソコンのデザインソフトに取り込むと、さらに細かな編集も可能です。

より本格的に背景透過したい方は、こちらの記事も参考になります。

背景透過のやり方は?無料のおすすめのソフトやツールを紹介!

デザインをスマホアプリで作成する方法

手元にパソコンが用意できなくても、スマホでデザインが作れます。中には手書きでハイクオリティーなイラストが描けるアプリもあります。デザイン制作にぴったりなスマホアプリを4つ紹介しましょう。

デザインアプリ名

特徴

料金

ダウンロード先

Canva(キャンバ)

多彩なテンプレート

無料の範囲で使用可

Google Play

 App Store

Promeo(プロメオ)

画像デザイン

無料の範囲で使用可

Google Play

App Store

Adobe Express

高品質な画像編集

無料体験期間あり

Google Play

App Store

MediBang Paint(メディバンペイント)

イラスト・お絵かき

無料版でも使用可だが広告が多い

Google Play

App Store

デザインを上手く描くコツについては、次の記事で詳しく解説していますのでチェックしてください。

イラスト初心者でもできる!Tシャツ用のイラストを上手に描くコツ

デザインをOHPフィルムに印刷する 

デザインを印刷する透明フィルムの写真

次は、作成したデザインをOHPフィルムに印刷しましょう。

  1. プリンターにOHPフィルムを裏表に注意してセット
  2. パソコンからプリンターにデータを送る際は、素材に合わせた大きさのデザインに設定(いちばんキレイに仕上がる設定で印刷)

 

※印刷後の仕上がりが薄いと露光が上手くいかない場合があるので注意して行いましょう。

※自宅にプリンターがない方は、近くのコンビニなどのプリンター設備のあるお店にお問い合わせいただくと安心です。

こちらの動画は、パソコンからOHPフィルムに印刷する流れをわかり易くご説明されてますので参考にしてみてください。

参考:シルクスクリーン自作Tシャツ(YouTube)

シルクスクリーン印刷に必要な枠を作る

シルクスクリーン印刷に使用する製版の写真

続いて、デザインを移すためのシルクスクリーン枠を作りましょう。

  1. コルクボードのコルク部分を抜き取り、木枠のみにする
  2. 部屋の蛍光灯を切り、窓からも紫外線が入らないようにカーテンを閉めて暗室にする(スクリーンには紫外線に反応する感光乳剤が使用してあり、紫外線を当てると固まってしまうため)
  3. タッカーを使いスクリーンを木枠に張り付ける

 

※スクリーンがピンと張るように固定してください。たゆみがあるとインクが素材にキレイに乗らない場合があります。

シルクスクリーン枠にデザインを露光し製版を作る

デザインをいくつかのフレームに入れて飾ってある写真

デザインフィルムをシルクスクリーン枠に写して製版を作りましょう。

まずは、ダンボール箱を使い露光機を作りましょう。ダンボール箱を電球の傘に見立てた形が完成図です。露光機の使い方のイメージは、昭和の食卓で日々使っていた食卓カバーの様に、作成したデザインの上から被せて使用します。

  1. ダンボール箱の片面を全て切り取り、カゴの様な形にする
  2. 反対側の閉じた面の真ん中をUVライトの大きさ分くり抜く
  3. UVライトが内側に向くようにはめ込み、マスキングテープで固定すると露光機の完成

 

続いて、露光機を使用しシルクスクリーン枠にデザインを転写します。シルクスクリーン印刷では、紫外線に反応する感光乳剤のスクリーンシートを扱います。紫外線が入らないようにカーテンを閉め、暗室の用意をしましょう。(LEDライトはOK)

  1. スクリーン枠の上にデザインフィルムを乗せてしっかりと密着させる
  2. 露光機をデザインフィルムの上に被せ、UVライトを約1〜10分当てて感光させる(紫外線が当たるところが固まる)
  3. 感光後、スクリーン枠を水で洗い流すとデザイン部分の塗料が抜けてデザインが浮き出てくる

 

※露光時間は、作成した露光機や環境によって光を当てる時間が上下するので、何度かテストを行い時間感覚を掴むと安心です。

※露光後のシルクスクリーン製版を洗ったあとの状態に、隙間があるとインクが通ってしまうので、枠の淵はマスキングテープで保護しましょう。

こちらの動画は、露光機制作をわかり易くご説明されてますので参考にしてみてください。

参考:自作オリジナルTシャツ作り!~シルクスクリーン~(YouTube)

シルクスクリーン製版を使い素材に印刷する

シルクスクリーン印刷でインクで素材にプリントしている写真

それでは、制作したシルクスクリーン製版を使いシルクスクリーン印刷を行います。

  1. 印刷したい素材をマスキングテープで固定し、シルクスクリーン製版の位置を印刷部に合わせ固定する
  2. インクをスクリーン製版上部に乗せて、スキージで上から下に均等に滑らせる(1〜2回)
  3. ゆっくりとスクリーン製版を剥がして素材を乾かす(自然乾燥 or ドライヤー使用)
  4. 完全に乾いたら、インク定着のためアイロンをかけると完成(素材によって使用できない物にはしない


※シルクスクリーン製版から素材に印刷する際、デザインが逆にならないように位置に注意しましょう。

※シルクスクリーン製版はインクが乾く前に(目詰まりする前に)水洗いすると何度でも使えます。続けて使用しない場合はすぐ洗いましょう

プリントの位置に迷ったら、次の記事で解説していますので合わせてチェックしてくださいね。

オリジナルTシャツのプリント位置はどこがおすすめ?注意点も解説

こちらの動画は、インク塗布がわかり易くキレイに印刷されてますので参考にしてみてください。

参考:#midorisanada(Instagram)

シルクスクリーン印刷を自作する際の注意点

シルクスクリーン印刷を自作する際に注意して欲しいポイントが2つあります。

ここでは、作業環境の見直し、道具をほぼ100均で揃える方法についての注意点を詳しく解説します。

広めの作業スペースの確保と部屋の換気をする

作業スペースの参考写真

安全に作業するために部屋の状態をチェックしましょう。

たくさんゴミが出るのでゴミ袋の用意と、作業が行いやすいように広めの作業スペースの確保をしましょう。予めインクで汚れてもいい服に着替えておくと安心です。

そして、最も重要なのが換気です。専用インクを取り扱うので外気が十分に入る場所での作業をおすすめします。

こちらの動画は、注意点をわかり易くご説明されてますので参考にしてみてくださいね。

参考:家でもできるシルクスクリーンのやり方(YouTube)

必要な道具を100均で揃えると大量生産に不向き

シルクスクリーン印刷に使う絵の具の写真

手間は増えますが、道具をほぼ全部100均で揃えることもできます。デザインを厚紙などに描き切り抜いて作ったり、スクリーンをメッシュ素材のものに置き換えたり、シルクスクリーン製版の専用道具を全て手作りすると費用を最大限抑えることができます。

しかし、100均で材料を置き換えて作成したスクリーン製版は、専用スクリーンで作成したものに比べ壊れやすく、たくさん刷りたい人にはおすすめできないので注意してください

こちらの動画は、道具をほぼ全部100均で揃えて作業されているので参考にしてみてください。

参考:100均アイテムでDIY シルクスクリーンプリントできるのか検証します。

参考:#patam_katagami(Instagram)

 

 

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