湿度が高い日本の夏。じっとしているだけでも汗で体がべとべとしてきますね。暑さが厳しい季節を少しでも快適に過ごすためには、洋服の生地(素材)選びが重要です。
夏場に活躍するスポーツウェアや着用時の涼しさが人気のユニクロ/エアリズムなどはポリエステル素材でできていますが、一方でポリエステル素材は「暑い」「蒸れる」という評価を聞くことも。
ポリエステル素材の服は、夏に向いているのか、不向きなのか、どちらが本当なのでしょうか。今回は、洋服の代表的な生地である「綿」と「ポリエステル」の違いを比較した上で、夏にポリエステル素材の洋服を着るメリットとデメリットを詳しくご紹介していきます。
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【基礎知識】ポリエステルと綿素材の違い
Tシャツやポロシャツなどのカジュアルウェアに使われる定番生地といえば「綿」や「ポリエステル」。原料や構造といった基礎知識を知ると、それぞれの生地が得意とする着用シチュエーションがイメージできますよ。
ポリエステル素材の原料や特徴
ポリエステルは、石油を原料としたポリエチレンテレフタレートという化学物質です。高温で融解したこの化学物質を長い繊維に紡いで生地にしていきます。
化学物質を融合して紡績するため、自由に変化させることができるのが強み。均一な円形断面の糸なのでさらりとした手触りとなり、吸水性や吸湿性が低いことが特徴です。
綿素材の原料や特徴
綿(コットン)は、アオイ科ワタ属の植物から採取される「ワタ」を原料とした「木綿」を紡績し作られた天然素材の生地。
繊維には中空が存在し、さらに周囲には天然の「撚り(ねじり合わせ絡ませ合うこと)」が発生しているため水分を吸水しやすく、また通気性に優れていることが特徴です。
夏にポリエステル素材を着るメリット
ポリエステル素材の服を夏に着用するメリットにはどんなものがあるでしょうか。化学物質を原料とした合成繊維だからこその嬉しい特徴があります。
速乾性があり汗を乾きやすい
ポリエステルの原材料は石油なので、水分を吸収しません。そのため速乾性があり、汗をかいてもすぐ乾きます。汗を吸収した衣服を着続けていると、不快なだけではなく体が冷え風邪をひく原因になることも。
吸水性の低いポリエステル素材はそんな汗冷えの対策として優れているため、スポーツ用のウェアや山登り用のウェアとして採用されることが多いのです。
耐久性があるけど形状変化は少ない
ポリエステルは綿に比べて耐久性が高く、シワになりにくい特徴があります。洗濯を繰り返しても型崩れなどの形状変化が起こりにくいため、汗をかいたり汚れたりするシチュエーションに着用してもお手入れが楽ちんなのが嬉しいポイントです。
紫外線カット効果もある
夏といえば気になるのが紫外線。ポリエステルは繊維そのものが紫外線を吸収し、肌に届かないようにしてくれます。紫外線が生地を透過して肌に到達する割合を「紫外線透過率」と言いますが、綿が0.3%も透過してしまうのに対し、ポリエステルの場合はたったの0.01%。
さらに最近ではUVカット加工がされたポリエステル生地も開発されているので、日焼けの大敵である紫外線を防ぎたいならポリエステル素材がおすすめです。
夏にポリエステル素材を着るデメリット
優れた速乾性や耐久性など、良いことばかりにみえるポリエステルですが、一方で夏の着用に向かないと言われる性質もあります。ポリエステルのどんな特徴が夏の着用に不向きと言われるのかをみてみましょう。
汗のニオイが気になる
ポリエステルの原材料となる化学物質は脂油やタンパク質となじみやすいため、皮脂やアカなどの汚れが吸着し洗濯しても落ちにくい性質があります。
生地に吸着した汚れが雑菌のエサとなり、その雑菌が排出する物質がニオイを発生させる原因。この雑菌は通常の洗濯では落としきることが難しいため、洗ったはずなのに臭うという現象が発生しやすくなるのです。
通気性が低く蒸れやすい
綿などの天然素材は繊維が中空なので通気性が高いのですが、ポリエステルは繊維そのものに空間がないため通気性が悪く、熱がこもりやすい性質があります。
生地自体が汗を吸わないため洋服が肌にベタつくことはないのですが、その分服の中で蒸れた状態になってしまうことがデメリットでしょう。
火に弱い
ポリエステルはとても火に弱いので、火の粉が少しついただけでもあっという間に穴が開きます。燃えてしまうというより、溶けてしまうという表現が近いかもしれません。
キャンプファイヤーや焚き火をするようなレジャーの際には、ポリエステル生地の洋服は燃え移りの危険があるため避けた方がいいでしょう。
ポリエステル素材のデメリット攻略法
夏にポリエステルを着るメリットがたくさんある一方で、やはりデメリットも気になるという方もいるでしょう。でも、大丈夫。ポリエステル素材の弱点にはちゃんと攻略法があるのです。
高性能ポリエステル素材
「暑さ」や「臭い」が気になる方には高機能ポリエステル素材がオススメ。ポリエステルは人工で作られた繊維なので、織り方や加工の方法でさまざまな機能を付加できます。
最近では吸水性を改良した素材や汗臭さが定着することを防止する消臭機能つきの素材など、ポリエステルの弱点をカバーする機能を付加した素材が作られています。
【ニオイが気にならない機能性が人気】ベーシックドライポロシャツ
ポリエステル100%のポロシャツでありながら、ニオイが気になりにくいアイテム。高機能の秘密は「ポリジン加工」で、夏場・スポーツシーンに着ていても汗による菌の繁殖を抑えてくれます。
なお、自分で考えたオリジナルデザインを施せるのも特徴なので、世界で一枚のポロシャツが欲しい人にもおすすめです。
綿との混合を選ぶ
ポリエステル素材の「臭い」が気になる方は、混紡生地を選ぶと良いでしょう。いくつかの素材を混ぜ合わせて作られた生地を「混紡材」といいます。
混紡生地はそれぞれの生地の長所を組み合わせ欠点を補うことができる優れた素材。夏場には綿とポリエステルの混紡生地がオススメです。ポリエステルの速乾性はそのままに、ポリエステルの吸湿性の低さを綿が補ってくれるのです。
【混紡糸を採用!】カジュアルポロシャツ
ポリエステルと綿で仕上げた定番デザインポロシャツです。ある程度の速乾性があるので、夏でも着やすくなっています。ライトウェイトの鹿の子地を使用しているので、軽やかでミニマムなスタイルなのも魅力です。
正しい方法でお手入れする
「臭い」が気になる方は、正しい方法でお手入れをすることで防臭効果が期待できます。お手入れとしては例えば、ニオイがつきやすい脇や襟首周りは洗濯用の固形石鹸などを利用して手洗いすることです。手洗いで入念に手入れすれば、夏場でもニオイが付きにくくなりますよ。
また、濡れたまま放置しないことも効果的です。なお、長時間放置してニオイがついてしまったら、殺菌消臭効果の高い酵素系漂白剤でつけ置き洗いすると改善しますよ。
夏をもっと快適に!ポリエステル以外のおすすめ素材
つづいて、夏を快適に過ごすための素材をポリエステル以外で紹介します。
コットン(綿)
コットンと言えば夏だけでなく一年中ファッションアイテムに使われる素材です。定番中の定番の素材ですが、夏においては自慢の吸水性や通気性が良い効果を発揮します。
コットン100%で作られたアイテムは、夏でも暑苦しくない風合いと着心地、肌触りで着やすいのが魅力です。また、本記事ですでに紹介しているポロシャツのように、ポリエステル素材と混紡で一つのアイテムを作ることも多く、お互いの魅力を引き出しつつ暑い夏を快適にしてくれます。
リネン(麻)
コットンやウールと同じくらい知名度の高い素材・リネンは、数ある素材の中でも夏向けNo.1ともいえる存在です。肌触りがサラリとしていて、吸水性・速乾性・通気性ともに高く、湿度の高い日本の夏を快適にしてくれます。
一方でシワになりやすい素材のため、シワなどをなるべくつけずにTシャツなどを長く愛用したい場合はポリエステル素材がおすすめです。
レーヨン
ポリエステルと同じく化学繊維の一つであるレーヨンは、夏におすすめの素材です。サラリとした風合い・着心地は、夏を軽やかに演出してくれるでしょう。また、夏どうしても気になるニオイがつきにくいという特徴もあり、夏服としては目立った欠点はほぼありません。
シワが付きやすい点や型崩れしやすいといったデメリットはあるため、アクティブなシーンやかなりの頻度でローテーションを組むアイテムの場合は、長く使うためには日々のケアが大切になりますよ。
オリジナルスポーツウェアを作るならポリエステル素材がおすすめ
ポリエステル生地の洋服は、速乾性や耐久性に優れ紫外線も防いでくれるというメリットがあり、特に夏のスポーツウェアとして適しているといえるでしょう。
部活動やスポーツチームでおそろいのユニフォームやクラブTシャツを作る時は、ポリエステル素材で、かつポリエステルのデメリットを克服する機能が付加された高機能生地がオススメです。
5.6オンス ドライコットンタッチTシャツ
VORTEX(ボルテックス)を使用したポリエステル100%のTシャツ。VORTEX精紡とは、優れた吸水拡散性を持たせるように加工した人工の合成繊維のことで、ポリエステルの懸念点であった吸水性が改善されています。
汗をしっかり吸水し、しかも従来のポリエステル素材のメリットである速乾性を発揮するスポーツウエアに最適な生地と言えるでしょう。
ベーシックドライポロシャツ(ポリジン加工)
こちらはポリエステル100%素材の生地に、ポリジン加工を施した高機能生地のポロシャツ。ポリジン加工とは、天然の銀イオンによりニオイの原因となる微生物が雑菌の繁殖を抑制する抗菌防臭加工技術のことです。ポリエステルの弱点である汗臭さを克服しています。
3.5オンス インターロックドライTシャツ
伸縮性に優れた夏向けドライTシャツです。なめらかな質感や型崩れのしにくさ、さらには紫外線建蔽率90%のUVカット仕様など、おすすめポイントはたくさんあります。スポーツシーンやイベントのチームウェア、デイリーユースなど様々な場面で活躍しますよ!
夏のオリジナルTシャツコーデ・着こなしとは?
最後に夏向けのオリジナルTシャツをコーデに取り入れる際のポイントなどを紹介します。実際にコーデを組む時などにお役立てください!
素材・生地感にこだわる
ここまで解説してきたようにポリエステルをはじめ、コットン・リネン・レーヨンなど夏向け素材使用のTシャツは、夏のオシャレを快適にしてくれます。生地感に関しても平織りの薄手なTシャツや、霜降りなど涼し気な風合いのTシャツなどは、一枚着・重ね着コーデどちらにしてもおすすめです。
手・足・首をほどよく露出して清涼感アップ
夏のコーデは通気性や涼し気な印象を演出することが大切です。特に手・足・首をほどよく露出すると、通気性がアップして涼し気になります。Tシャツの場合はロンTではなくて、シンプルな半袖Tシャツがおすすめです。
分厚すぎないTシャツで一枚着コーデを軽やかに
夏のオリジナルTシャツコーデは、可能であれば一枚着できるものを主役にしたいところです。重ね着は手軽にオシャレさをアピールできますが、夏の場合は暑苦しくなってしまいます。5オンス以上のほどよい厚みがあるオリジナルTシャツを着用して、涼し気な一枚着コーデにチャレンジしてみてください。
ポリエステル素材は夏にも大活躍!
「暑い」「蒸れる」といった不安の声もあるポリエステル素材ですが、速乾性や耐久性など汗をたくさんかく夏に大活躍するメリットがたくさんあります。
もちろんニオイがつきやすい、通気性が低いなどといったデメリットもありますが、そういった弱点は混紡材を選んだり、抗菌防臭加工がされた生地を選ぶことで解消できます。
選び方のコツを抑えれば、ポリエステル素材のメリットを最大限活かし、夏でも汗によるベタつきやニオイに悩まされずに快適に過ごすことができるでしょう。